15.医療費控除が利用しやすくなりました!
従来の医療費控除では、風邪薬等の市販薬が控除対象とはなっておりましたが、民間の医療保険や高額療養費等を考慮し、実際の負担額をベースに計算すると、足切額を超えないため、医療費控除の適用が受けられないといった問題がございました。
新たな税制(セルフメディケーション税制)が創設されたことに伴い適用可能な方が相当増えるのではないでしょうか。従来の医療費控除と同様、ご自身で簡単にできるので、是非、この機会に確定申告をしてみましょう!
※平成30年度の国民医療費は約42.6兆円にのぼっております。年々増加する医療需要の増大をできる限り抑え、国民の自発的な健康管理を推進し、医療費の適正化を図ることを目的として創設されました。
セルフメディケーション税制の内容は? |
健康の維持増進や疾病予防のため、一定の取組み(特定健康診査、定期健康診断健康診査、がん検診、予防接種)をする個人((※1)生計を一にする配偶者や親族を含む)が一定のスイッチOTC医薬品を購入した場合、購入額の合計額が年間で1万2千円を超える時は、超える金額について(※2)所得控除を受けることができます。(適用期間平成29年1月1日~令和8年12月31日)
但し、従来の医療費控除との選択適用となるため、いずれか有利な方でご申告下さい。(OTC医薬品は治療又は療養に必要な医薬品として従来の医療費控除の対象となる医療費に含まれております。)
(※1)生計を一にする親族等の方の所得要件は問われません!(従来の医療費控除も同様です。)
(※2)控除額 ⇒ 最高88,000円まで受けられます。
但し、保険金等を受けている場合は、医療費の金額から控除したところにより計算(従来の医療費控除も同様)
★「生計を一にする」とは「同居」「別居」で判断するのではなく、別居している両親に仕送りし、その仕送りによって生活が成り立っているような場合は「生計を一に」していることとなります。逆に同居していても家計が完全に別なら「生計を一に」していることになりません。カマドが一つかどうかで見ていくこととなります。
従来の医療費控除は? |
個人(生計を一にする配偶者や親族を含む)が医療費を支払った場合、(※3)足切額を超えている金額について(※4)所得控除を受けることができます。
(※3)足切額 ⇒ 100,000円と総所得金額等の5%のいずれか少ない金額(本ホームページによる計算は全て10万円を前提としております。)
(※4)控除額 ⇒ 最高2,000,000円まで受けられます。
従来の医療費控除とどちらが得? |
医療費全体で188,000円を超える場合(保険金等を考慮後)は従来の医療費控除が有利だと言えます。
医療費全体で100,000円発生していない場合は、従来の医療費控除の適用が無いため、セルフメディケーション税制を検討しましょう。
それでは、間をとって100,000円~188,000円の場合はどうでしょうか。スイッチOTC医薬品以外の医療費が88,000円超の場合は従来の医療費控除が有利、88,000円以下の場合はセルフメディケーション税制が有利となりますので、以下の例示をご参考下さい。
★スイッチOTC医薬品以外の医療費が88,000円超の場合(スイッチOTC医薬品70,000円、スイッチOTC医薬品を除く医療費90,000円)
・従来の医療費控除 ⇒ 160,000円-100,000円=60,000円
・セルフメディケーション税制 ⇒ 70,000円-12,000円=58,000円
★スイッチOTC医薬品以外の医療費が88,000円以下の場合(スイッチOTC医薬品90,000円、スイッチOTC医薬品を除く医療費70,000円)
・従来の医療費控除 ⇒ 160,000円-100,000円=60,000円
・セルフメディケーション税制 ⇒ 90,000円-12,000円=78,000円
またご夫婦のいずれかで適用を検討している場合は、住民税は定率10%分の控除となりますが、所得税は超過累進税率を採用していますので、「所得の多い方から医療費控除を」とお勧めしています。
適用を受けるためには? |
・医療費控除に関する事項を記載した確定申告書の提出
・申告書の添付資料として医療費の領収書、セルフメディケーション税制適用の場合は、領収書の他、一定の取組み(健診や予防接種)を行った際の領収書又は結果通知表(写し可)を確定申告書に添付又はご提示下さい。
⇒結果通知表は健診結果部分は不要なので、黒塗りや該当箇所の切り取りを行って差し支えありません。
※平成29年度の確定申告から領収書の代わりに明細書の添付が必要となりました。尚、平成29~令和元年分迄の確定申告は従来通り領収書の添付によることも可能です。
※令和4年分の確定申告より一定の取組みに関する書類の添付は不要となります。