2.消費税を節約しよう!

 

 免税事業者を上手に活用

  

 消費税節税の基本となるのは、免税事業者の活用です。

 消費税において、課税事業者になるかどうかは、原則2期前(※1)の事業年度(※2)の課税売上(※3)が1,000万円を超えているかどうかで決まります。その他、(※4)特定期間の課税売上高又は給与等の支払額が1,000万円を超える場合が改正により加えられました。尚、上記に関わらず資本金が1千万円を超える法人や課税売上高が5億円を超える法人が発行済株式等の過半数を直接又は間接に保有する法人(平成26年4月1日以後に設立される法人に適用)については、免税事業者となることはできません。

 

 (※1)個人事業主は2年前になります。

 (※2)基準期間といいます。

 (※3)課税売上とは、消費税の課税対象となる売上とお考え下さい。

    事業上の売上高はもちろん、固定資産の売却収入等も含みます。

   (※4)特定期間とは、個人事業者は前年1月1日~6月30日、

法人は原則として直前期の上半期です。

 これから開業を予定している個人事業者や法人は、基準期間や特定期間の制度をフル活用して、消費税の免税を最大限に受けられるよう、しっかり事業計画を立てましょう。

 

 

課税方法の選択は事業年度開始前までに

  

 消費税のもう1つの大きなポイントは、課税方法の選択です。

 消費税には、「原則課税」「簡易課税」という2つの計算方法があります。

 

 「原則課税」は、売上に伴って預かった消費税から、仕入等に伴って支払った消費税を差し引いた金額を国へ支払うという方法です。

 

 一方、「簡易課税」は、売上と業種のみから消費税を計算する簡易な方法です。簡易課税は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合に選択することができますが、選択するためには、適用を受けようとする事業年度が開始する前までに、税務署に届出書を提出しなければなりません。(「設立事業年度や「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合」を除きますが、消費税の届け出は、原則、事前申請ということに留意しないと、提出期限に間に合わず、適用が受けられない事態もありますので、ご注意下さい)

 

 

事前のシミレーションは必須です! 

 

 一般に、設備投資額が大きい事業年度では、原則課税が有利となり、人件費が多い業種は、簡易課税が有利となります。人件費に関しては、「雇用契約」のみではなく、「請負契約」や「労働者派遣」など、人材の活用形態を増やしていった場合、今までは簡易課税が有利であったのに、原則課税の方が有利になるということが発生します。

 簡易課税は選択後、原則2年間は強制適用ですので、最低2年分の予測をした上で、新しい事業年度開始までにどちらかの課税方法を選択するかを決めなければなりません。この選択が消費税の納税額を大きく左右することもあります。

 

 

 消費税計算の概要について

 

原則課税

 課税売上 × 10% = 仮受消費税

 課税仕入 × 10% = 仮払消費税

 仮受消費税 - 仮払消費税 = 年税額

  ※軽減税率による取引が一切ないと仮定した場合

簡易課税

 仮受消費税 - (仮受消費税 × みなし仕入率(※4)) =年税額 

 (※4)みなし仕入率

  • 第1種事業(卸売業) 90%
  • 第2種事業(小売業) 80%
  • 第3種事業(農業、林業、漁業、製造業等) 70%
  • 第4種事業(第1~3、5、6種以外の事業) 60%
  • 第5種事業(運輸通信、飲食店業除くサービス業) 50%
  • 第6種事業(不動産業) 40%