10.手取り給与を増やす秘策とは?

   

 従業員の給与を上げたくても、なかなか厳しいというのが現状ではないでしょうか?

 課税されずに従業員の手取りを増やす方法の一つとして社宅を利用した節税をご紹介します。

 

社宅にして手取りを増やす

 

 従業員借りている賃貸住宅を、会社が社宅として借り受け、会社が従業員へ賃貸し、家賃を徴収する方法です。

 

 例えば従業員(給与総額月50万円【うち住宅手当5万円】)が毎月10万円の家賃を支払っており、会社契約に変更するケースを見てみましょう。

 まず住宅手当5万円を廃止します。(就業規則や労働契約上、従業員にとって不利益変更とならないよう配慮は必要です)労働者そして会社が賃借料10万円を支払う代わりに※従業員から5万円を徴収します。すると給与総額5万円の減少に対する社会保険料・所得税・住民税の減少分だけ手取り現金が増えます。(社会保険料に関しては会社負担分も減少します)

 

  個人の契約の場合 社宅借上契約の場合

会社側 

 

給与50万円(住宅手当5万円含む)支払

給与45万円+社宅借上費5万円(10万円-5万円)

従業員側

 

給与総額50万円に課税された後、家賃10万円を支払う

給与45万円に課税され、そこから家賃5万円を会社へ支払う

増加分
        -

左記に対して社会保険料・所得税・住民税減少分が実質的に手取り給与として増加

 

 ここで気を付けなければいけないのは、社会保険料の負担が下がるということは、傷病手当金、失業時の給付や老齢年金や障害年金の受給の際の計算基礎となる給与も下がり受給額も減るということ、また入居や退去時の費用負担など社宅規定にしっかり明示する必要があるでしょう。

 

 給与規定を見直す際に、従業員の福利厚生の一つとして社宅制度を従業員も交えたところで検討してみるのもよいのではないでしょうか?(役員の社宅についても、同じように節税効果がありますが、また別の機会に。。)

 

※社宅については、一定額以上の適正家賃を徴収していれば本人に給与として課税されることはありません。ちなみに所得税法基本通達36-41、45では従業員の一月当たりの家賃として以下の①~③の合計額と定めています。(社有・借上を問いません)

 

①その年度の家屋の固定資産税の課税標準額 × 0.2%

②12円 × (家屋の総床面積㎡ / 3.3㎡)

③その年度の敷地の固定資産税の課税標準額 × 0.22%

          ⇩  

「算式で計算すると家賃はかなり低額です。固定資産税の課税標準額は賃貸物件でも確認可能です!必要書類は自治体へご確認下さい。」