11.ふるさと納税のワンストップ特例とは?
ワンストップ特例制度とは |
ふるさと納税制度は納税者が、住んでいる場所以外の自治体に寄附し、寄附金控除として後に税金を軽減する、つまり住んでいる場所の他に納税できるという制度です。
しかしながら確定申告をする必要のない給与収入のみのサラリーマンの方には寄附金控除を申請する確定申告書の作成はハードルが高く感じられるかもしれません。そんな懸念を払拭すべく今年の改正から確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」が創設されました。
条件を満たせば確定申告不要 |
「確定申告が不要になる」というのは聞こえが良いですが、以下の条件を満たさなければ、ワンストップ特例は使用できません。
①確定申告の必要が無い方
②5箇所以内の自治体への寄附
③寄附する自治体毎に確定申告不要の申し出をして、自治体から送られ
てくる「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を返送する。
ふるさと納税の控除額は? |
①所得税の控除額(※1寄附金-2,000円)×所得税(5~45%)×1.021※2
②住民税の控除額
イ.基本控除額(※1寄附金-2,000円)×10%(※所得に関わらず一律10%)
ロ.※3特例控除額(寄附金-2,000円)×(90%-所得税率×1.021)
上記①②の合計により、理論上は寄附金のうち2,000円を超える部分が全額控除となります。
※1 対象となる寄附額としては、所得税は総所得金額等の40%、住民税
は総所得金額等の30%がそれぞれ限度です。
※2 令和19年度まで所得税額の2.1%分の復興特別所得税を納める必要が
あります。
※3 特例控除額は住民税の所得割額の2割が限度です。
(1割⇒2割へ引き上げられました)
こんな時はどうなるの? |
例えば「年の途中に医療費控除をすることになった」場合など、確定申告する必要が生じた場合は、確定申告でふるさと納税の寄付金控除も併せて申告する必要があります。もし寄付金控除を申告し忘れるといつまでたっても税金の軽減を受けられませんので、注意が必要です。
また年の途中で引越しをして居住している自治体が変わった場合は、その旨を寄付した自治体に知らせなければいつまでたっても税金の軽減を受けられません。
最も軽減できる寄附額は? |
「最大限の軽減を受けるために、ふるさと納税をいくらにすればよいか」というのは、やはり気になるところです。住民税の特例控除額に限度があるので(所得割額の2割)、その限度額を基に計算していくこととなります。
【具体例】
給与収入金額:1,000万円(給与所得控除後の総所得金額780万円)
所得控除額:所得税245万円、住民税240万円(社会保険料控除等、ふる
さと納税額を除く)
所得税率:20%
①特例控除の上限額を求める
まずは住民税の所得割を求めます。(「調整控除」は考慮しておりません)
⇒(780万円-240万円)×10%=54万円
住民税の特例控除額の上限は所得割額の2割が限度のため
⇒54万円×20%=108,000円です。
②上記、「ふるさと納税の控除額」の住民税の減税額の計算式②ロ.を利用して上限額を代入し計算します。(ふるさと納税額をXとします。)
(X-2,000円)×(90%-20%×1.021)=108,000円 X≒157,000円
最も軽減できる寄附額は157,000円となります。
簡単にシミュレーションできるサイトもありますが、給与収入以外にも所得がある場合など、ご自身での試算が必要な際に御参考下さい。
※給与所得控除額は2020年税制改正前の控除額によっております。
いつ控除(還付)されるの? |
所得税については、寄附をした年分の所得から控除され、税額が軽減又は還付されます。住民税については、寄附をした年の翌年に課される税額から控除されます。
但しワンストップ特例制度の適用を受ける場合には、所得税額相当額も含めて、翌年度の住民税から軽減されることになりますので、改正前より同制度を利用し(確定申告)還付金を受けていた方はご注意頂けたらと思います。