18.消費税の課税選択の変更の特例について(コロナ)
ここ数年にわたり毎年のように未曾有の大災害が起こり、令和2年においては、新型コロナウイルスの出現により甚大な被害を受けている事業者が多いと思います。
「簡易課税制度」や「課税事業者の選択」は、事前提出が、原則となっていますが、課税期間の中途で災害等が発生した場合、「簡易課税制度」については、現行法(消費税法37条2)において、特例が設けられておりますので、新型コロナ感染症による被害を受けた場合は現行法を運用する形になります。
「課税事業者の選択」につきましては、新型コロナ感染症の影響を受けている事業者向けに特例が創設されております。「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」(新型コロナ税特法)において規定されておりますが、災害が多い日本ですので、簡易課税と同様に消費税本法へと格上げして欲しいですね。
簡易課税制度の特例は? |
簡易課税制度の選択届出は、新型コロナウイルス感染症の影響のよる被害を受けたことにより、簡易課税制度の適用を受ける(又は適用を受けない)必要が生じた場合に特例承認申請書を災害等がやんだ日から2カ月以内に提出し税務署長の承認によりその被害を受けた課税期間から適用を受ける(又はやめる)ことができます。
※簡易課税制度は、原則、2年間の継続適用が要件となりますが、特例による承認申請をした場合は、2年間の継続適用の要件はありません。
また、基準期間における課税売上高が5,000円以下の場合に適用できる
制度なので注意が必要です。
消費税の課税選択の特例は? |
消費税の課税事業者の選択届出は、課税期間開始の日の前日迄にというのが原則ですが、新型コロナウイルス感染症の影響のより、令和2年2月1日~令和3年1月31日までの期間のうち任意の1カ月以上の期間の事業等の収入が前年同期比に比べて概ね50%以上減少している場合に、税務署長の承認を受けることで、課税期間の開始後であっても、課税事業者を選択(又はやめる)ことができます。
※上記の簡易課税制度と同様、特例による場合は、2年間の継続適用の要件はありません。
以下、国税庁のQ&Aによれば。。。
「収入金額とは」
一定の期間に事業としての収入の著しい減少があったかどうかを判定する際の「収入 金額」の計算に当たっては、事業者の事業上の売上その他の経常的な収入の額(消費税の 課税取引に係る収入に限られません。)を含めますが、各種給付金など臨時的な収入は含めません。
また、新型コロナウイルス感染症等の影響により、事業者が収入すべき対価の額を減 免又は猶予した場合のその減免額又は猶予額についても「収入金額」に含めません。
例えば、不動産賃貸人が政府の要請に基づき賃借人が支払うべき賃料の支払を猶予し ていると認められる場合、「収入金額」の計算に当たっては、調査期間における賃料収入 に計上される額からその猶予額を控除します。
「特例の手続きに必要な書類」と「期限」は?
「新型コロナ税 特法第 10 条第1項(第3項)の規定に基づく課税事業者選択(不適用)届出に係る特例承 認申請書」に「新型コロナウイルスの影響等により事業としての収入の著しい減少があ ったことを確認できる書類」を添付して、以下の申請期限までに納税地の所轄税務署長に提出してください。
なお、特例承認申請書と併せて「消費税課税事業者選択届出書」又は「消費税課税事業 者選択不適用届出書」も提出してください。
1 課税事業者を選択する場合
⇒ 特定課税期間の末日の翌日から2月以内(個人事業者のその年の12 月31 日の属する課税期間の場合は3月)※1
※1 国税通則法第 11 条の規定の適用により、この承認申請の期限を延長することができます。
2 課税事業者の選択をやめる場合
⑴ 特定課税期間から課税事業者の選択をやめる場合
⇒ 特定課税期間に係る確定申告書の提出期限※2
⑵ 特定課税期間の末日が、課税事業者選択届出書の提出により課税事業者となった 課税期間の初日以後2年を経過する日(「2年経過日」といいます。) 以後に到来する場合で、その特定課税期間の翌課税期間以後の課税期間から課税 事業者の選択をやめる場合
⇒ 特定課税期間に係る確定申告書の提出期限※2
⑶ 上記⑴、⑵以外の場合
⇒ 「2年経過日の属する課税期間の末日」と「課税事業者の選択をやめようと する課税期間の末日」とのいずれか早い日
※2 国税通則法第11条の規定により確定申告書の提出期限の延長を受けている場合には、その延長された期限となります。
「収入の著しい減少があったこと確認できる書類とは」
「新型コロナウイルスの影響等により事業としての収入の 著しい減少があったことを確認できる書類」(確認書類)とは、例えば、損益計算書、月 次試算表、売上帳、現金出納帳、預金通帳の写しなどで、令和2年2月1日から令和3年 1月 31日までの間のうち任意の連続する1か月以上の期間(調査期間)と、その調査期 間の直前1年間における調査期間に対応する期間の事業としての収入の金額が確認できる書類をいいます。
注目!!
納税義務が免除される事業者、あくまでもその課税期間の基準期間のおける課税売上高が1,000万円以下の事業者です。
また、特定期間(※)における課税売上高(又は給与支払総額)が1,000万円を超える場合等には、納税義務が免除されないのでご注意下さい。
※特定期間とは、個人事業主はその年の前年1/1~6/30、法人は原則、その事業年度の前事業年度開始日の日以後6月の期間