9.中古車を買うと節税になりますか?
昔からよく話題になった節税法ですが、今も決算月前などにあるお客様からの相談の一つです。
これは単年度でみると「節税」効果はあります。但し翌年度以降はいかがでしょうか?
⇒「減価償却費が少ない」、場合によっては「減価償却費0円」なので初年度は節税できても翌年度以降は節税にはなっていません。「費用の先取りをしている」というとイメージが掴みやすいでしょうか?
車両などの長期に亘って使用する資産は、取得に要した金額を(※1)耐用年数にわたり費用として配分します。
⇒このような計算手続きを減価償却といいます。
今回のテーマの節税は、この減価償却費の計算(とりわけ計算要素の中の耐用年数を利用したもの)によるものとなります。
この耐用年数というのは、(※2)新品と中古では当然違うので、中古(4年落ち)の場合、全額が経費になるということもありますので「全額経費になり、節税できた!」という流れかと思います。
「利益が予想以上に出た」「投資後、できるだけ早目に費用計上し節税することで資金の回収を図りたい」ということであれば、「節税目的の中古車を」ということも至極当然の流れかと思いますが、価値の下がりにくい高級車をとお考えでも、有事の際に売却した場合、(※3)帳簿価格の1円ではなく、時価での売却金額を基に課税されます。使用目的等をよくご検討された上でのご購入をお勧め致します。
※1
耐用年数は、企業会計では自社の耐用年数を自主的に算定してそれを使用することは差し支えありませんが、各企業の算定方法によると恣意性が入るため、税法では法定耐用年数を定めています。(税務調整も必要となるため、中小企業の大半は法定耐用年数を使用しているのが現状です)
※2
減価償却費の計算(定額法・定率法による)の基本形は「取得価額(簿価)×償却率(耐用年数に応ずる)×事業供用月数」なので、耐用年数が短ければ短いほど、償却率が高く定められており、2年では償却率1.000(定率法の場合)のため、事業使用の時期が事業年度開始早々の一月目であれば全額費用計上となります。
※3
減価償却費は、平成19年の税制改正により「取得価額の95%に達するまで」⇒「残存簿価1円に達するまで」計上することが可能となりました。